二陣 のぶみほの野望  03年 ぷにけっと8 

 

 

さて。

みほみほの一年越しの(え)個人誌も見事発行できたし、好評を得て万事終了。

次のイベントからは、いよいよ二人の合作で勝負することになったのです。

 

『丸山』

『なんだ、横川』

『我等がついにその計画を発動させる時が来た。

我等の野望、分かっているな。 丸山

『…もちろんだ、横川。

我等の野望、それは…

………

…え? 何? そんなのあったっけ? のぶちゃん』

 

んもうっ! ダメねみほみほ!

人を成長させるのは向上心! そしてそれに付属する大いなる野心よっ!

『いいこと、みほみほ! あなたの絵はとっても素晴らしい!

この私が保証するわ!!

あなたのその武器があれば、私たちは…あの野望を達成させることができるのよっ!

 

『そ、それはっ!!?』

『それは… プラカード!!

…プラカード? ラミカードじゃなくて?』

違うわ! プラカードよ!

【のぶみほ新作工房 最後尾はこちら】

と書かれたプラカードを、書くことよっ!!!!(ドーン!)』

『ええっ! そ、それはつまり…』

 

そう。 私達の野望。 それは… 行列ッ!!

サークルとして生まれたからには、誰もが目指す至高のステイタスッ!

それが行列ッ!!

 

『いい!? サークルは、行列のできるサークル、とTokyoうおーかー辺りに紹介されて

ナンボのものっ!! 目指すわよ! みほみほ!

私達もいつかは、行列を裁くサークルになることをっ!!!

『おー』

 

と、こうして誓い合ったのはいいんだけど。

時間は私達に断りもなく過ぎていくわ。

気付いた時には、当初企画していた初合作のオフセ本が、

 

『…ダメ。 もう間に合わない

 

とゆう、みほみほのいつか聞いたセリフに代わっていたってわけで…。

 

『うーん、困ったわね…。

じゃあ、何かコピー本のその場しのぎネタを作ろうか?』

『うん、そうして。 おねがいー』

 

のぶこ、ちょっと軽いでじゃぶぅに。

 

『で、どんなのがいい?』

『えーと』

 

以下略。 つい二ヶ月前から進歩のない会話が続く。

 

『…じゃあ、さちことか(疲れてる)

『あ、さっちゃんいい。 描きたいっ』

 

そこで『逆転さっちゃん』ですよ。

たまたま私、その時期に『逆転裁判』ってゆうゲームにハマってたのもあって、

ネタはすんなりできたわ。

ただし、本当に『読めるもの』に仕上げないといけなかったし、

話を作る作家として、単なる『二つの作品のネタコラボレーション』

だけに終わるようなお話にしたくはなかったのね。

第一、これは『おジャ魔女どれみ』の同人誌であるから、なるべく『どれみ』以外で

ネタとして分からない、話が見えないものを描いちゃマズいわけで。 私的に。

どれみだけ知ってる人にも分かるように、逆転裁判のベースを上手く作って…

と、試行錯誤したら思いのほかページが増えちゃってね。

 

『ってわけで、みほみほ。 20P越えちゃった

待ってよのぶちゃん!

あと10日くらいしかないのに、20Pはさすがにムリ!

 

ま…そうかもしれないわね…。

 

『うーん、分かった。 じゃあ、なんとか削って19Pにした』

『うん、それなら、まあ、なんとか…』

 

あ、いいんだ…(汗)

 

みほみほってどういう基準で計算してるのか、ちょっと分からないわ…。

とまあ、とにかくみほみほが『OK』っつってんだからOKでしょう。

こうして『本当に大丈夫?』といったようなこの本は、作られていきました。

 

…そして当日。

午後一時。

 

『なんとか、間に合った〜! 奇跡だ〜!!

 

みほみほがにこにこしながら、会場にやってきたわ。

もう一度言うけど、一時。

ちなみに、このイベント『ぷにけっと』の開場は11時。 サークル入場はもっと早いわ。

なのに一時。 なぜか一時。

そして、なぜか私もこの日は来たのが11時の入場時。

答えは簡単よ。

その日の朝まで、もう『明日のナージャ』が放送されてる時間まで、

二人で原稿やってたから。

どさり、とみほみほは

『のぶみほ新作工房の新刊は遅れます ごめんなさい』

とカンバンをたててある私達のスペースの机の上に、コピー誌の部品を置いた。

…相変わらず、間に合ってないから…。

これ、絶対間に合ってないからー!!!

 

『と、とりあえずもう一時よっ!! 急いで折るのよっ!!

『ラ、ラジャー!!』

 

ホント、もうこうなったらとことん開き直るしかないわ。

ちなみにぷにけっと、サークル販売時間は3時まで。

あと2時間しかない。

…泣きそうです。 でも、頑張ってなんとか間に合わせたんだもの!

そうよね、これ、間に合ってるわよね!? ギリギリよね!

開き直って折リ続けるしかないわ!!

 

『何部刷ったの?』

『えーと、50? 60?

 

つまり、紙一枚で2P分だから、大体折るのは10×50で…

いかん! 考えたくないわっ!! むしむしっ!!

とりあえず、私は逆算してなんとか販売できるような時間を40分後に定めたわ。

『1:40分くらいから販売します』

そうカンバンに描いて、私達はひたすら折った。

 

…。

 

そして…。

40分後が50分後に、1時間後にカンバンがかきかえられ…

 

それでも製本は終わらない。

私は、おそるおそる俯いていた顔を前にあげて、辺りの様子を伺うと…

 

ひぃぃぃぃぃぃっぃいぃぃぃぃぃいぃぃぃぃぃぃっっ!!!!!

 

な、並んでるぅぅぅぅ!! 行列してるぅぅぅ!!!(泣)

やヴァイ。 やヴぁすぎるわ。

こ、これはいくらなんでも、『あとまだ少し待ってください』とはいえない。

いえっこない。

 

『あのーすみません。 スタッフですが。

こちら、2時販売でよろしいんですよね? いけますよね?

 

スタッフさんが介入ですよ。

よく見たら、スタッフさんが行列を仕切っていますよ。 あわわわわ。

もうムリ。 これ以上伸ばせないわ。 政府介入までされてるもの!

 

『…ハイ』

 

私は覚悟を決めて立ち上がる。

 

『みほみほ、もう時間だから、とりあえず出来てる分を売るわ。

とりあえずみほみほは、どんどん折っちゃって』

『ら、らじゃ』

 

そんなこんなで、私たちは未完成のまま

そう、足がないジオングに乗ったシャア大佐のように見切り発進!

ついに2:10、逆転さっちゃんを販売にかかる!

 

…。

 

…で、すぐに出来てる分はなくなる。 行列は、お客さんはなくなってない…。

ど、どどどっどうしよう!?

整理券? そういうの配って、とにかくこの行列をなくさないと、迷惑がかかちゃう!

でも、整理券、そんなものなんて用意してない…

ってとこで、テンパったのぶみほはここでまた暴挙ッ!!!

整理券の代わりに、コピー本の最後のページを代用しますたー!!

そう、このページを持ってきたら、残りのページと合体させて本にしてお渡し。

どうっ!? これでなんとかっ!!

強行策に出た私たちは、なんとかそれですべてのお客さんをサバいたわ。

スタッフの人も、『なるほどー』と関心してくれたし。

エッヘン。 人の価値は、逆境でこそ生きるものねっ!!

…ま、あとで冷静に考えると、だけど。

その最後のページ、ホントにただのコピーなんだから…

どっかのコンビニでコピーして持ってこられたら、ヤバかったのよね。 実際。

でもまあ、そんなことは無くて、のぶみほの初合作の本『逆転さっちゃん』は…

本人達がパニック状態のまま、売り切れ御免となったわけ。

…ちなみに用意していたこの前のお互いの本の残り分の再販は、できず終い…。

たった2時間くらい参加したイベントだったんだけど、

なんか… 私が今までで経験したどのイベントよりも、疲れたわ…。 まじ。

 

『…つかれたわね…みほみほ…』

『ええ…。 でも、やったわね、のぶちゃん』

『…なにが?』

野望、達成♪ (ガッツポーズ)』

 

…。

いや、これ、何か違うわよ!!?

行列は行列でも、これ、何か違うんだけど!? ねえ?

 

 

 

燦々たる戦場跡。

…。 

あれ?

 

『あれ…。 なんか、ページ、残ってるのあるわよ?』

『え? そんなハズないわよ? だって50部ピッタリ、持ってきたんだもの

『…え、でもここに、最初の1Pがこんなにたくさん…

『…』

『…』

 

…見なかった事にしよう。

 

というわけで、逆転さっちゃんをお求めになったお客様ヘ。

初版の何部かは(おそらく、最初に整理券ナシで販売した分)…

最初の1Pが思いっきり抜けています。

激しくごめんなさい!! 今、ここで謝ります!!(おそ!)

 

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